ところが今では、私の通うジムの張り紙と会員契約書にはそんな親切なイラストなどなく、次のようなリストが記載されているのです。『入れ墨、タトゥー、ボディーアート等』。そしてその後には難しい専門用語で、入れ墨やステッカータイプのタトゥー、さらにはボディピアスまで禁止とされ、違反した場合には払い戻しなしの契約解除に処すると書かれています。プールを使わなくても、通常は服の下に隠されていて見えないとしても、変わりはありません。
タトゥーの条項を追加したのは、うまく外国人を締め出そうという意図があってのことではありません。この規制にひっかかるのは外国人よりも日本の若者たちのほうです。日本でタトゥーを除去しようとしたら、いくらかかるのでしょうか?
日本では、レーザーによるタトゥーの除去は通常1センチ四方につき1回15000円弱かかります(当時2007年)。使用された色にもよりますが、4~5回ほど通わなければなりません。他にも、痛みを抑えるクリーム(通常は、2500円以下)の代金を請求されることがあります。このクリームは1回購入するだけで良く、家に持ち帰って冷蔵庫で保存します。患者は、施術か時2前に施術部分に自分でクリームを塗ります。整形外科医として、施術の度ごとに、開始前にタトゥーの写真を撮る場合もあります。
レーザーとはどんなものでしょう?
使用されるYAGレーザーは、それぞれ別の波長のビームを数本同時に照射します。レーザーは歯科医の使うドリルに似ており、250ミリ秒の速さで照射します。照射の度にパチッというアーク放電のような大きな音をたてます。ブレーカーが落ちる直前に電気のコードがショートする時の音にも似ています。院内はどんな感じですか?
患者、医者、看護師は全員、施術中はファンキーなオレンジ色の安全グラスを装着します。治療はすべて外来で行われます。歯医者へ行くような雰囲気でしょうか。看護師は通常女性で、かわいくて、美人です。美容外科ですからね。医者は通常は男性で、こちらも見かけは悪くありません。歯医者の看護師のように、ここでの看護師の責務は、患者が急に動いたりして医者が患者の目をレーザーで切り付けないよう患者を押さえつけていることです。痛みはありますか?
鎮痛クリームを塗っていても、照射されると食用油がはねて肌に飛び散った時のような痛みを感じます。タトゥーを入れる場合は、体のどこに入れるかによって痛みの度合いは違ってきます(肉付きの良い胸やお尻などは痛みは少なく、肉が薄く骨に近い部分は痛みが強いです)。しかし、除去する場合は場所は関係なく痛みは同じ程度です。我慢できる程度の痛みです。施術時間はどれくらいですか?
1cm² = 30s @ ¥15,000 |
施術当日の夜は、患部がかなり敏感になっており、傷口を扱うのと同様、清潔に保たなければなりません。1週間ほどは、消毒液を患部に塗ってガーゼで保護してください。傷跡が残ることはありません。
タトゥーは完全に除去できますか?
それは人それぞれです。タトゥーは、異なるレーザーの異なる波長にインクの色素が反応することによって除去されます。波長がインクと合えば、レーザーはその色素を皮膚の下で粉砕し、それを白血球が消化してくれます。施術後に膿が出るのは、体の免疫系がインクを飲み込んでいる証拠です。問題は、波長の数が少ないこと、波長が全てのインクと反応を起こさないこと、そしてタトゥーのインクに使用される成分が標準化されていないため、アーティストによって異なることです。
インクは黒でしょうか?
- だとしたら、除去は一番簡単です。黒は全ての光を吸収するので、レーザーも全て吸収してくれます。黒い帯や黒で書かれた漢字などでしたら、完全に除去することは可能です。
インクは青または赤でしょうか?
- かなり難しいでしょう。何度も施術に通わなければならないと思ってください。しかし、アーティストがよほどおかしなインクを使ったのでない限り、いずれは消すことができるでしょう。
インクは白または黄色ですか?
- 残念ですが除去は無理でしょう。また、チューブから搾り出してそのまま使用したインクではなく、色を2種類以上混ぜ合わせた場合もこれにあてはまります。最新技術を取り入れたレーザーでも、明るい色を除去するのはできたとしてもかなり難しいのです。